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 PLをシナリオに感情移入させる方法 徹人  2016/04/14-10:57:40  [479]  

   ┗ PLの嗜好を把握する:GMのためのセッションではなく、PLのための.. 徹人  2016/04/14-10:59:27  [480]  
   ┗ キャラクターシートを把握する:そのキャラで何したいの?7 徹人  2016/04/14-11:01:21  [481]  
   ┗ NPCを作る:概論 徹人  2016/04/15-01:16:14  [482]  
      ┗ NPCを作る:ヒロイン編 徹人  2016/04/15-02:04:40  [483]  
      ┗ NPCを作る:エネミー編 徹人  2016/04/17-16:06:24  [484]  
         ┗ NPCを作る:エネミー編:パターン別1 徹人  2016/04/17-16:07:44  [485]  
         ┗  NPCを作る:エネミー編:パターン別2 徹人  2016/04/17-16:08:30  [486]  
         ┗ NPCを作る:エネミー編:パターン別3 徹人  2016/04/18-22:59:49  [487]  
   ┗ シナリオのコンセプトをはっきりさせる 徹人  2016/04/19-09:57:28  [488]  


PLをシナリオに感情移入させる方法 2016/04/14/10:57:40 No.479  
479. 徹人    
※ このコラムは「何度かGMを行ったうえで、より複雑でインパクトがあるシナリオを作りたい」と思っている、向上心のあるGMやマンネリを打破したいGMに向けて書いております。
そもそもGMってどうするの? という初心者の方は 以下のURLを参照してください。
そういう方がいきなりここに書いてあることを実践すると「GMって難しい! よくわからない!」ってなるかもしれません。(案外できるかもしれませんが、お勧めしません)

http://sororatelier.sakura.ne.jp/cgi-bin/dual-cross_bbs/wu/sr2_bbs.cgi?action=show_all&txtnumber=log&pp_num=142&cat=&t_type=tree

本文に入ります。
セッションを行うなら、やはり参加したPLの心に残るもの、PCの今後の人生に影響を与える内容のほうが良いですよね。
ダブルクロスというシステムはロイスとタイタスの存在から、PCの気持ちや人間関係を特に重視するシステムなのでなおさらです。
 
セッション報告でPCの固定ロイスがシナリオのNPCになっていたら心が躍りますし、
セッション感想で「泣いてしまった」とか「参加して本当によかった」とか書かれていたら、GMは歓喜に震えるものです。

しかし、そんな素晴らしいドラマをプロでもないGMが作ることができるのか?
 
やり方さえわかっていれば、十分可能です。
 
どうせセッションに長い時間をかけるなら、有意義で濃密な時間を過ごしたい。
GMであれPLであれ大抵の人はそれが望みでしょう。
 
ここではどうすればPLが感情移入し、PCが物語で生き生きと動いてくれるか
そういった「PLの感情移入のさせ方」を徹人のこれまでの経験で得たノウハウをここで紹介します。

注意事項としては感情移入とはPLそれぞれの意識のあり方によるものなので、
GMができるのは「きっかけ」を与えるところまでです。それ故にこのコラムを読んだだけで必ず凄いセッションができるというわけではありません。
これを書いてる私も、失敗や不発は未だにあります。 

どんなに事前準備をしたとしても、PLの趣味嗜好を把握しきれなかったり、当日のPLの体調がすぐれなかったりすれば
思ったよりも良い反応が得られないことがあります。
大事なのは「PLの心に残るシナリオを作ってみせる」という気概と、努力をする行動そのものだと思います。
セッションがPLにとって成功であれ、不発であれ、「GMが一生懸命努力をした」という事実自体は絶対に伝わるからです。
そういうGMのセッションには また参加したいと思わせるだけの余韻が残ります。
そして試行錯誤を積み重ね、経験を繰り返していけば、いつか必ず報われる時が来ます。

480. 徹人   2016/04/14/10:59:27  
効果:大 お勧め度:大 リスク:PLさんと付き合いが浅いうちは把握しにくい。
 
どういったPLやキャラクターが参加するか、という想定と顧客層の好みに合わせた作品構築は、
商業作品のマーケティングでも基本にあたる概念だけあって、セッションにおいても大事な考え方です。
 
凄惨なバイオレンス描写やR18描写などは、苦手な人がいる一方で むしろそういった要素が好物というPLさんもいます。
甘酸っぱい恋愛RPは他人がやっているのを見るのは好きだが自分がRPするのは勘弁してくれ、という人も少なくなりません。
NPCにしても、「ツンデレに抵抗があるor大好き」「エネミーに同情の余地があると倒してもすっきりしないorむしろそれがDXらしくていい」
などやはり好みは人によりけりです。
 
そういったPLの趣味嗜好を日ごろから把握しておく、あるいはPC募集時に注意事項としてあらかじめ聞いておくことは大事です。
以下のように、セッション前の相談段階で聞いておくのもお勧めです。
http://sororatelier.sakura.ne.jp/cgi-bin/dual-cross_bbs/wu/sr2_bbs.cgi?action=show_all&txtnumber=log&pp_num=462&cat=&t_type=tree 
 
嗜好の把握によって 以降に解説する「キャラクターシート把握」「NPC作成」「シナリオ展開」などにフィードバックができます。

なお、「そんなに相手の好みなんて知らないよ」という場合も勿論あります。むしろそういった相手の方が多いでしょう。
その場合セッション募集時に「シナリオの傾向」「NPCのざっくりとした立ち位置、セリフ例」などを記しておくと、そういったシナリオ、PCを好むPLさんが食いついてきやすいのでお勧めです。

481. 徹人   2016/04/14/11:01:21  
効果:大 お勧め度:大 リスク:ない、というか基本中の基本
 
キャラクターシートを読み込むのはGMするときの基本です。
そこに書いてあることをフィードバックするということは「PLがそのPCで何をやりたいか」を実現させるものであり、
キャラシの内容をどれだけ上手く使いこなせるかがそのセッションの成功の鍵になると言っても過言ではありません。
ここでは注目するべき部分とその使い方の例を解説します。
 
・ワークスとカヴァー
そのキャラクターの社会的な立ち位置です。
その地位や立場からセッションに関わることを考えます。
ワークスはどちらかといえばビジネス寄り、カヴァーがプライベート寄りな傾向なので
どちらかといえばカヴァーに着目したほうがより感情移入しやすいものになりやすい実感があります。
もっともこの部分は「どちらを重視したほうが話に絡みやすいか」を優先したほうがいいでしょう。
 
・出自、経験、邂逅(欲望)
そのキャラクターのアイデンティティーともいえる過去や因縁、願望です。
ここを重要視してセッションに取り入れることができれば、PLの満足感を大いに高めることができるでしょう。
具体的なそれぞれの内容は設定欄に記載されているはずですが、人によっては長大な記述になるなどで
キャラシの最下部に書かれていることがあります。きちんと確認しましょう。
また裏設定的にPLの頭の中にしまい込んでいる事実もある可能性があるので、
事前に相談して、大雑把にでも聞いておくとなおいいでしょう。

・固定ロイス
そのキャラクターにとっての大事なキャラクターです。
当然彼ら彼女らをセッションに絡ませればそのキャラは積極的に話に参加してくれるようになるでしょう。
他のPLさんのキャラクターが固定ロイスになっているとそのキャラが同じセッションに参加するのでなければ
扱いづらいでしょうが、オリジナルのNPCや公式のキャラクターならば登場させるハードルは低いはずです。
ただしオリジナルのNPCは設定がきちんと決まっていることが少ないので、
相談時にPLさんからなるべく細かく聞き出したほうが良いでしょう。
あるいはGMがやりやすいように設定を構築する許可を得るべきです。
ただしそのキャラの復讐相手など、登場させるとそのキャラが今後セッションに出る理由が激減してしまうものもあるので
事前に何の相談もなく登場させるのはやめましょう。

・技能、装備、エフェクト
これらは「戦闘や情報収集の立ち回りでどんなことをしたいか」を表現する要素でもあります。
なるべくそのセッション中に全て使わせるつもりで敵のデータやミドルでの判定を組んでみましょう。
特にイージーエフェクトを使う機会を設定すると、PLさんがノリノリで演出してくれることが多いです。
 
緊張感がある強敵との戦闘はそれだけで大きな充実感を得られることが多いので、
余裕があるならエネミーデータをPCに合わせて凝るのもお勧めです。

482. 徹人   2016/04/15/01:16:14  
どんなセッションにおいても、シナリオロイスの存在を抜きにしてDXを語ることはできない。NPC作成は重要なのだ。
何故ならDXを遊ぶ大きな楽しみの一つが、人間関係にかかわるドラマを演じることだからである。
故に魅力的なヒロインや心から憎める敵役、頼りになる協力者などを作ることができれば、それだけで物語を盛り立てる大きな武器になる。
使い古されたような王道テンプレシナリオでも、そこに登場する人物が生き生きと描かれていれば、
PCはひとりでに動き出し、PLはそのセッションにのめり込むようになるだろう。
 
主だって活躍するNPCの数はそのシナリオのPCの数、つまりシナリオロイスの数と同じになるのが、平等性やPCごとの対応の観点から理想だ。
しかしそうなると4人ものNPCの来歴やイメージを構築し、実際に運用する必要がある。
これは結構大変なことだ。ともすればせっかくNPCを登場させても特定のキャラだけ出番が極端に少ないということにもなりやすい。
そういうわけで慣れない内に関してはNPCの数はヒロインとエネミーの2人くらいまでにした方がいい。
しかしそれはそれで不公平感は出るし、1PC1シナリオロイスに対応させた方がキャラクターの動きやコンセプトがはっきりさせられる。
そのため以下のような工夫を取り入れるのが望ましい。
 
1.UGNなどの組織、○○事件といった今回の事件そのもの、大切な日常などそのPCにとって大事な概念など
人間以外にシナリオロイスを取らせる。
 欠点:どうしても一歩引いた視点で事件に関わることになる。
 
2.PC2のシナリオロイスをPC1にする、など NPCではなくPCをシナリオロイスにする。
 欠点:そのセッションで取得できるロイスの数が少なくなりがち
また、PC同士の絡みを積極的にさせないと「いるだけのキャラ」「ついてきているだけのキャラ」が生まれやすい。
 
3.多重人格者や善良なキャラクターの意外な裏の正体など、同一人物の裏の側面を別のシナリオロイスとして扱う。
 欠点:使えるシナリオが限られる。

4.PCの固定ロイスや公式のキャラクターなど、既に設定のあるキャラクターを流用する。
 欠点:事前にそれらのキャラクターを把握する必要がある。
 
5.一人のNPCを複数のPCのシナリオロイスにする。
 欠点:シナリオロイスに設定したキャラごとの対象が絡む機会に格差が生じやすい。
 
以降の下位トピックにはセッションに感情移入しやすいヒロイン、エネミー、協力者の作成法を解説したいと思う。

483. 徹人   2016/04/15/02:04:40  
ヒロインとはシナリオ中何らかの理由でPCたちの助けを必要とする存在である。
女性や子供とは限らない。女性のPC1にイケメンヒロインを対応させる乙女ゲー的展開でも問題ない。
重要なのは彼ら、彼女らにとってPCの力や助けが必要不可欠なことである。
そしてこの力や助けはパワーやエネルギーという意味に限らない。
PCが束になっても敵わない絶大な戦闘力を有しているヒロインであっても、
精神的未熟さや社会的な制約などが理由で困難に見舞われている、誤った道に進もうとしているならば
やはりそれはPCの助けが必要で、ヒロインたりうる存在なのである。
そのためヒロイン=エネミーという図式もシナリオによっては成り立ってくる。
 
魅力的なヒロインというのは、往々にして「PC(特にシナリオロイスに設定されたPC)が必要である、PCでなければならない」感を表現する。
他のNPCやましてやエネミーがその役割を奪うことはありえない、と言わんばかりの実感を与える。
それを美しく言い換えるなら「運命性」である。
例えば幼馴染などの古くからの付き合いがあったり、そのPCの運命を大きく変える事件に一緒に遭遇したような仲であれば運命性が高くなる。
またお互いに欠けている能力・性格・境遇を埋め合うような仲もいい。パズルのピースのようなフィット感が出る。
庶民とお姫様などの身分違いの関係や落ちこぼれとエリートなどの能力に格差のあるカップルが創作に多いのはそうした「埋め合う」関係性になるからだ。
閉鎖空間にヒロインとPCの二人だけ閉じ込められる、といった物理的に他をあてにすることができないという力技も有効だ。

またPCに対して積極的に反応を返してもらえるヒロインほど良いヒロインである。
看病や家事、任務のサポートなどの献身的な行為を行ってくれればPLにもPCにも心象はよくなるし、惚れてくれるかもしれない。
支援系のエフェクトやアイテムでデータ的にも手助けしてくれるならばよりその実感もわくだろう。
逆に出会ったはじめのうちはPCを異様に目の敵にしたり攻撃的であったり、敵対関係だったりしても良い。
イベントを通して、ヒロインの抱えた事情を知ったり、PCと友好的になったりすることでお互いを理解し合うことができれば
ギャップによる相乗効果で「ヒロインの助けになりたい」とPLPCがより感じてくれるからである。
いずれにしてもPCに対して反応が薄いヒロインほど感情移入しにくいものはない。
そういった性格のキャラであってもその反応は最初のうちだけにするか、対応するPCだけには積極的になるようにしたほうがいい。

484. 徹人   2016/04/17/16:06:24  
エネミーはヒロイン以上にDXのシナリオに必要不可欠な存在である。
システム的にクライマックスが必ず戦闘になるためというのもあるが、
「葛藤」や「成長」を表現する事が多いシステムであるため、PCが乗り越える壁が必要になること、
そもそもPCたちが戦わなければいけない原因や、シナリオに絡む事件を引き起こしているのがエネミーである事が多いためである。 
 
また強さや性格などの制約がヒロインに比べて緩く、シナリオによって様々な敵役を作ることができるため
多くのセッションではエネミーの色がシナリオの色を決めることになるだろう。
 
さて、魅力的なエネミー、理想的なエネミーとはどういったものか? ということだが、
シナリオ次第、PC次第としかいえない。
身も蓋もないが、それだけ作成の自由度が高く、エネミーとしてシナリオに関わっていく理由が幅広いということだ。
吐き気を催す外道のような敵も、PCたちとは異なる正義を掲げた信念ある敵も、悲しいほどの小悪党も、同じくエネミーなのだ。
もう少し具体的にいえば、エネミーをPCにとってどういう立場に置くかによってようやく方向性が定まるのである。

以下のトピックにいくつかのパターン別に解説していく あくまでこれらのパターンは徹人の独断と偏見によるものであり、
目安であり、複数のパターンが組み合わさって戦う理由を与えられたエネミーや例外も多い。

485. 徹人   2016/04/17/16:07:44  
・PCが乗り越えなければならない壁
おそらく最も多く使われる立ち位置のエネミーが「壁」としての役割を与えられていることだろう。
PCの個人的な日常を脅かす比較的小規模な舞台のシナリオの敵から世界の命運を懸けた戦いのラスボスまで幅広く用いられる。
このタイプのエネミーで重要なのは PCよりも強くなくては壁としての説得力に欠けるということだ。
実力的にはPCのほうが上でも、そのエネミーが彼らにとっての弱点を持つことが望ましい。(例えばPCのトラウマに関わってくる敵など)
そのためPCに比べて圧倒的な実力を表現したり、PCの弱みを握っていたりすることが必要となる。
 

・PCを乗り越えようとする挑戦者
「壁」とは逆にPCのほうが明らかに強さや経験が上である場合、彼らを打ち倒そうと挑んでくるタイプの敵である。
PCのロイスを奪おうとする恋敵、憧れや嫉妬深さを抱く後輩、PCの勇名を越えるために挑んでくるライバルなどが相当する。
このタイプのエネミーはPCよりも実力としては低くても、工夫や努力、作戦や協力者の存在などでその足りない部分を補う必要がある。
たとえばマスターシーンにそのエネミーが成長する描写を含ませる、といったことだ。
それは尋常ならざる努力の賜物なのかもしれないし、第三者のより悪辣なエネミーの入れ知恵かもしれない、
その場合、PCの強さの本質はいったいどういったものなのかを考えて対比するようにした方がいいだろう。
PCの強さが努力の結果手にしたものならば、遺産や新兵器の力の誘惑に負け、努力を諦めたエネミーを出す、などだ。
 

・PCの大切なものを手にしようとする簒奪者、あるいは壊そうとする破壊者。
これは対応するPCよりも、むしろ壊そうと、奪おうとする対象(ヒロインであることが多い)の関係性に重きを置くタイプのエネミーである。
この場合対応するPCはエネミーよりもその対象との関係性を重視してシナリオを作っていくのがいい。
つまりエネミーの持つ邪悪な、自分勝手な思いよりもPCがその「大切なもの」に抱く想いのほうがずっと深く重いものであることを知らしめるのだ。

 
・捨て駒、やられ役、三下、鉄砲玉、モヒカン
PC・NPCの強さや能力を表現したり、シナリオの状況・緊急性を説明するためだったり、
彼らに苦しめられているキャラに対してPCの正当性や信頼性を手っ取り早く伝えるためだったり
シナリオでの役割は様々だが、序盤に現れて狼藉を働いてはPCに倒されるエネミー。
使いどころが多く、使い捨てにしても問題ないのでので使用方針を明確に語ることは難しいが、
敢えて言うならば上記のような「役割・必要性」をざっくりとでも決めておくのが望ましい。
 
例えばシナリオのクライマックスで戦う大ボスの手先に設定するというだけでも、その代理人として行動することとなり、
大ボスの脅威度や非情さ、彼らが何に執着して何を目的にしているのか伝えることができる。

486. 徹人   2016/04/17/16:08:30  
・PCとは別の正義を持った存在。
百万の命を奪って一億の命を救おうとする組織の代表者、
主君は悪人だとしってなお、自らの忠義と誇りを懸けてPCに立ちはだかる忠臣、
自分の大切な人間を救うために悪事を働くライバル 
など、「彼らの立場や境遇に立って考えれば その選択を選ぶのが道理」と感じさせるタイプの敵。
ダブルクロスの醍醐味である「葛藤」をPCに提供してくれる存在である。
FH専用シナリオなど悪をRPするのを楽しむタイプのシナリオでは例外だが、
このタイプのエネミーを登場させる場合、PC側に彼らの思想を納得せずとも理解や同情をするキャラクターがいなければ効果的でない。
そうでなければこのタイプのエネミーを出す必要が薄いからである。(結果的にそういうことになった場合はともかくとして)
したがってこのタイプのエネミーを出す際はPCの思想や信念に近づけるように配慮する工夫がいるだろう。
例えばそのエネミーと特定のPCに共通点を多く盛り込むなどして
そのPCが過去の自分のままだったらならそのエネミーが掲げる正義を選択してしまっただろう、と思わせるような配慮である。
同時にPCと彼らとの決定的な違いをつけることも望ましい。PCと違って彼らには理解者や幸運に恵まれなかったなどだ。
 
場合によってはPCよりもエネミーのほうが正しいことを言っている、行っているケースにもなるだろうが、
そうした場合PC側の主張にある程度配慮しないとPLの爽快感が減退することもあるので、上手に空気を読むこと。
 
このタイプのエネミーは彼らの掲げる正義とPCたちの抱く正義に妥協点さえできればエネミーから協力者に転向させることもできる。
しかし信念を全うしたまま最期を迎えたほうが彼らの主張に重みや説得力が出る。
状況やシナリオの展開、PCの選択によって彼らのその後の動きに変化を持たせよう。


・PCが救わなければならない相手
別の悪役に唆されたり、過去の事件の影響などで悪に堕ちたキャラクター。
DXはNPCを操ったり感情を書き換えたりするエネミーエフェクトやEロイスが多いのでこうしたキャラクターを登場させやすい。
ただしそういったもので強制的に感情を書き換えさせる前にそのキャラクターがある程度悪側になびく下地を作っておいた方が望ましい。
そうでなければなんでも「エフェクト・Eロイスのせい」で片づけられるのでそのキャラクターの個人的な考えに対する重みがないのである。
たとえばPCに対して憧れや恋心を持つ一方で嫉妬心や野心を抱いていたりする、といった内情だ。
 
このタイプのエネミーはエネミーであると同時にヒロインを兼ねさせやすい。
一番大事なのは彼ら彼女らの救い方や結末まで至るプロセスをきちんと考えておくこと。
PCと新たな絆を結んで日常に帰還するのか、悲しい別れを遂げるのか、別の道に進むのか、自らの行った代償を支払って犠牲になるのか
美しく、何よりも参加者たちの納得のいく最後(もしくは始まり)を提供しよう。


・PCをヒーローとして引き立てる敵
いわゆる吐き気を催す外道など自分の欲望や快楽のために弱者を虐げる悪。
自己中心的で他人に厳しく自分に甘い者など。
PCが彼らを制裁することで物語を「めでたしめでたし」になる、伝統的勧善懲悪の悪役の皆さま。
 
最も敵としてわかりやすいタイプで、ミドルフェイズであしらわれる雑魚敵からラスボスまで幅広く使われる。
こういった敵は悪行の限りを尽くすほど倒した時の爽快感の高さが比例するため、
とにかく情状酌量の余地がない非道ぶりを見せつけるのが良い。
中途半端に同情の余地を見せてしまうとPCが無駄に悩んで話を長引かせてしまったり、爽快感が欠けたりすることがあるので
そういった背景があったとしてもセッション後にPLに伝える裏話などで公開するとよいだろう。
 
複数のエネミーが出るセッションの場合、「PCが救わなければならない相手」や「PCとは別の正義を持った存在」と組ませると
互いに存在感を引き立てることができるのでお勧め。

487. 徹人   2016/04/18/22:59:49  
・信念や意志が希薄な「法則」「本能」で行動する敵
思考を持たない災害や設定された命令に従って攻撃を行う兵器、悪を為すこと自体が存在目的の狂人・邪神など
会話する余地が全くなく、放っておくだけで被害を及ぼすタイプの敵。
 
PCにとって最初から絶対的な悪になるため、説得RPなどで時間を取られないことがこのタイプのいいところである。
また複数勢力が絡む話でも「味方に引き込む」ことが(少なくともPC側は)できないため
UGNとFHのPCを協力させるなど複数勢力のPCが巻き込まれるセッションの敵としてお勧めである。
エネミーのRPに比較的手間が取られない分、純粋に戦闘を楽しむタイプのセッションでも便利な存在。
 

・PCとともに成長するライバル
物語上、PCの成長に寄与し、またPCの存在があるがゆえに脅威を増していく敵役の花形ともいえるライバルPC。
通常のセッションでは表現することが難しいので、連作やキャンペーンセッションなどで複数回ボスとして立ちはだからせるとよいだろう。
因縁を積み重ねることで、よりPCを話の中へ引き込んでいくことだろう。
その時々のPCとの関係を考えて「PCが乗り越えなければならない壁」としての立場と
「PCを乗り越えようとする挑戦者」としての立場を使い分けよう。
詳細はエネミー編:パターン別1のそれぞれの項目を参照。
 

・利益関係上の敵対者
その時々の状況や利益を重視した立ち回りをするエネミー。
PCとの個人的な因縁とは関係なく任務や依頼で敵対する刺客や、本筋の悪役とは別に独自に動く中立的立場の敵などがあたる。
大事な点は PCと利益以外の敵対理由が希薄な事。
PCたちの感情や思想、過去の因縁などにとらわれない立場であるため、シナリオの本筋とは一歩離れた立ち位置で登場できる。
そのため交渉や状況の変化によって味方に鞍替えさせられる可能性がある。
シナリオギミックや大ボスにあたる存在との対比として活用しよう。

488. 徹人   2016/04/19/09:57:28  
効果:大 お勧め度:大 リスク:ない

PLの嗜好やPCのキャラクターシートを把握したら、そこにGMがどんなシナリオをやりたいのか考えてシナリオ内容を作っていく。
悪玉をぶっ飛ばしてスッキリさせたいのか、PCに思いっきり葛藤させて成長の糧にさせたいのか
緊張感溢れる白熱した戦闘を繰り広げたいのか、腹の底から笑い飛ばせるカオスな状況に巻き込みたいのか
まずそのセッションで何をしたいのかという目的を設定すること。
コンセプトやテーマをはっきりさせるのだ。
ここをきちんと決めておくことで、「どういった展開に転がしていくか」「どうPL、PCにリアクションしてもらうか」という指針が決まる。
そして何よりも「GM自身がそのシナリオで何をしたいのか」という意識が持てる。
 
コンセプトやテーマは、「PLにどう感じてもらうか」というPLに対してのもの、「PCに何を行ってほしいのか」というPCに対してのもの
「シナリオの状況や舞台、ギミックをどうするのか」という環境に対してのものがある。
これらのうち最低でもどれか一つを決めておこう。理想はPL,PC,環境それぞれに一つづつテーマを定めていることだが、
あまり方針を多くすると内容が多くなりすぎて大変になるので、GMのマスタリング能力や時間的余裕を考えて練ること。
慣れないうちは一つに絞り込むのがいいだろう。 

・「PLにどう感じてもらうか」
カオスに巻き込んで思いっきり笑ってもらいたい、戦闘を楽しんでもらいたい などPLに対するアプローチ
PLの嗜好の把握が重要。

・「PCに何を行ってほしいのか」
重大な選択をつきつけて葛藤させたい、ホラーな状況に投げ入れて恐怖に震わせたい などPCに対するアプローチ
キャラクターシートの把握が重要。
 
・「シナリオの状況や舞台、ギミックをどうするのか」
FS判定を中心としたシナリオ構成にしたい、回想シーンを多めに取り入れたい、香港を舞台にしたい など状況やシナリオ自体の味付けに対するアプローチ
内容にもよるが比較的PL、PCを選ばない。GMのやりたいことを表現しやすい。

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