―――――――――――――――――――――――――――――――― ○PC1  PL:toy “水波能女(ミヅハノメ)”秋葉瑞葉(あきば・みずは) ・シンドローム:モルフェウス×サラマンダー ・ワークス/カヴァー:ダークワンA/旅行者 ・データ:攻撃/近接/単体/情報 http://sororatelier.sakura.ne.jp/dual-cross/pc_list2/list.cgi?id=177&mode=show ○PC2  PL:徹人 “血の掟(オメルタ)”ロベリア・ヴェンデッタ・ルカーニア ・シンドローム:エグザイル×モルフェウス ・ワークス/カヴァー:犯罪王A/貿易商 ・データ:攻撃/間接/単体/情報 http://sororatelier.sakura.ne.jp/dual-cross/pc_list2/list.cgi?id=78&mode=show ○PC3  PL:timi “フォース”オスヴァルト・ビーレル ・シンドローム:エンジェルハィロゥ×サラマンダー×ブラッグドッグ ・ワークス/カヴァー:超人兵士C/レジスタンス ・データ:攻撃/間接/範囲 http://sororatelier.sakura.ne.jp/dual-cross/pc_list2/list.cgi?id=197&mode=show ○PC4  PL:時雨 “雪闇の魔女”リリシア・クロムウェル ・シンドローム:サラマンダー×バロール ・ワークス/カヴァー:魔術師/骨董品屋&魔女 ・データ:攻撃/間接/単体/憎悪付与/カバーリング http://sororatelier.sakura.ne.jp/dual-cross/pc_list2/list.cgi?id=194&mode=show ―――――――――――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼オープニング1『還りたくて』  マスターシーン ▼オープニング2『紳士淑女たれ』  シーンプレイヤー:リリシア ▼オープニング3『二人の狩人』  シーンプレイヤー:オスヴァルト ▼オープニング4『小さな反抗者』  シーンプレイヤー:ロベリア ▼オープニング5『絶望と希望』  シーンプレイヤー:瑞葉 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼事前説明 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ※PC間ロイスは瑞葉→ロベリア→オスヴァルト→リリシア→瑞葉でお願いします。 ※今回は一部のNPCもタイタスを昇華します。 ※今回は状況次第でゲームオーバーやジャーム化が起こり得ます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼オープニング1『還りたくて』  マスターシーン ―――――――――――――――――――――――――――――――― 最初から分かっていた。  ―――――――――――――――――が見える。 もう戻れないんだって。  ―――――――――――――――――が見える。 それでも、帰りたかった。  ―――――――――――――――――が見える。 もう一度、会いたかった。  ―――――――――――――――――が見える。 だから……。  ―――――――――と。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼オープニング2『紳士淑女たれ』  シーンプレイヤー:リリシア ―――――――――――――――――――――――――――――――― 古代ローマ時代に建設された地下都市があることでも有名な町。 トルコの歴史地区カッパドキア。 キミがこの地を訪れたのは人伝にある噂を耳にしたからだ。 なんでも、ここの遺跡から驚くべき物が発掘されたらしい。 それは悪竜を退治したと伝えられている聖人の“遺産”――“竜殺しの槍(ゲオルギウス)”。 ……是非とも見てみたい。 ……出来れば触りたい。 ……本当は頬擦りしたい。 溢れ出るリビドー、もとい知的好奇心は抑えられるはずもなく。 キミは新月の暗闇に紛れて、槍が保管されている博物館へと忍び込んだ。 ※登場はリリシア、侵蝕率上昇でロールプレイ開始です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場すると 警備員A「こちらは異常ありません」 警備員B「こちらも異常ありません」 警備員C「こちらも異(以下略)」 警備員Y「(以上略)常ありません」 警部Z「ハッハッハ。この警備なら、ルパンと言えど忍び込むことは不可能だろう」 ……異様に警備が厳重な気がする。 だが、キミの“力”を使えば何ら問題はないだろう。 警備員A「パタリ」 警備員B「バタリ」 警備員C「バ(以下略)」 警備員Y「(以上略)タン」 警部Z「キュー」 まるで赤子の手を捻るような罪悪感で一杯だ。 キミは警備員達を沈黙させながら、保管室までやって来た。 目の前のガラスケースの中には全長1mほどの鉄製の槍が鎮座している。 [眺めますか? →頬擦りしますか? 舐めますか?] ……ああ、安物特有の触り心地の悪さと、床用洗剤の刺激臭がたまらない。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ●判定  技能:〈知覚〉  難易度:2 ・幻覚を見破ったことで正体が判明した。ディス・イズ・デッキブラシ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○判定を終えると ??「……その、真に申し訳ない、マドワゼル」 ??「幻覚だと教えようとは思ったのだが、とても幸せそうに見えて言い出し辛く……」 気付けば、キミの背後に片眼鏡をかけた紳士が立っている。 ??「だが、ご安心を、マドモワゼル。どんな姿であろうと貴方は美しい、今宵の月のよりも」 ??「おっと、これは失礼……私の名はアルセーヌ・ルパン」 ルパン「どうか、親愛を込めてルッパ〜ンとお呼び下さい、マドモアゼル」 ルパンはシルクハットを脱ぎながら、優雅に一礼する。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○“竜殺しの槍”について ルパン「“これ”のことかね?」 ルパンがくるりと手を回すと全長1mほどの布包みが現れる。 ルパン「はて、“今宵、槍を頂戴する”という旨の予告状は出したはずなのだが……」 ルパンは困ったような雰囲気を醸し出しながら、キミを見つめる。 ルパン「申し訳ないが、私も今回は依頼された立場なのでね。譲って差し上げる訳にもいかないのだよ」 ルパン「まぁ、ここは“早い者勝ち”ということで、素直に引き下がって貰えると助かるのだが」 ルパンは苦笑しながら、軽妙に肩を竦める。 そこには勝者の余裕が満ち溢れていた。 ルパン「おや、もしかして、“盗られたら盗り返せ”の方が性に合っていたりするのかね?」 ルパン「それはそれで……貴方のような美女に追われならば男冥利に尽きるというものだ」 ルパン「さてと……名残惜しいが今宵はこれで失礼するよ」 ルパンがひらりとマントを翻すとその姿が消える。 ルパン「では、再会を楽しみにしているよ、“雪闇の魔女”殿」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― では、シーンを切り替えます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼オープニング3『二人の狩人』  シーンプレイヤー:オスヴァルト ―――――――――――――――――――――――――――――――― 真実を知る者には義務が課せられる。 ナチスドイツの創設した研究機関――祖国遺産協会アーネンエルベ。 幼くして超人兵士として作り上げられたキミは誰よりもその非道さを知っている。 だから、戦わなければならない。 コードネーム“ジェヴォーダンの獣(ラ・ベート)”。 今回のキミの任務はそれについての調査及び、破壊だ。 シュヴァルツヴァルトに秘された研究所を目指し、鬱蒼と生い茂る木々の隙間を抜ける。 すると、キミの視界に予想だにしないものが飛び込んでくる。 ……あの瓦礫の山は研究所と呼ばれていた建物だろうか。 ……その赤黒い肉塊は警備に当たっていた兵士達なのか。 刻み込まれた破壊と殺戮の痕は人の業とは思えない。 ※登場はオスヴァルト、侵蝕率上昇でロールプレイ開始です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場すると ??「ったく、随分と派手にやられたもんだな」 何処から現れたのか、ナチスの軍服に身を包んだ男が呟く。 それはキミのよく知っている人物だった。 ??「よ、久しぶりだな、坊主」 “巨刃(ナーゲルリング)”カール・シュヴァイツァー。 キミの居た施設で、訓練教官を務めていた超人兵士だ。 カール「あ?なんだ、捕まえて欲しいのか?」 キミの態度を茶化すようにカールが笑う。 軍人としてはあるまじき態度だが、気さくな性格は変わってないようだ。 カール「ったく、相変わらず、生真面目な性格だな」 カール「……こっちは押し付けがましい里帰りだけで手一杯だっての」 ふとキミはカールの生家がシュヴァルツヴァルトの猟師だったことを思い出す。 カール「で、そっちはこんな所まで何しに来たんだよ」 カール「まさか、ハンティングとか言い出したりしねえよな?」 カールはキミに意味ありげな視線を向ける。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○“ジェヴォーダンの獣”について カール「止めとけ、止めとけ。逆に“獣”に喰い殺されるのがオチだっての」 カール「危ないことは猟師さんに任せるのが一番だよ、赤頭巾ちゃん」 カール「ったく、分からねえ奴だな」 カールは苦笑しながら、面倒そうに右手を振るう。 カール「……今だって、死地に飛び込んでるんだぜ?」 刹那、風が吹き抜け、キミの頬に赤い線が引かれる。 カール「少しは理解できたか?」 ??「――――」 不意にカールの足元に転がっていた携帯型無線機が受信を知らせる。 カール「さてと、それじゃ“忠告”はしたからな」 カール「……もう俺と出会うんじゃねぞ、坊主」 カールはそれだけ言い残すと森の奥へと消えていった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― では、シーンを切り替えます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼オープニング4『小さな反抗者』  シーンプレイヤー:ロベリア ―――――――――――――――――――――――――――――――― バーデン=ヴュルテンベルク州カールスルーエ。 ドイツの南西部に位置する工業都市で、ライン川とは運河で結ばれている。 フランス国境に近いこともあり、駐留しているナチス兵士の数は多い。 現在、キミはこの地に滞在している。 事の発端はファミリーに上がって来た報告書に記載されていた内容だった。 カールスルーエで目撃されたという武装親衛隊の士官。 その男こそ、キミから全てを奪った超人兵士の一人だ。 ……今なら……きっと。 キミはドレスの下に復讐心を隠しながら、今日も夜の街を彷徨っている。 ※登場はロベリア、侵蝕率上昇でロールプレイ開始です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場すると 突如、キミは奇妙な感覚に囚われる。 間違いない、これは“連中”が使用する《ワーディング》と呼ばれる能力だ。 キミは路地から路地へと抜け、発生源を辿っていく。 そして、思い掛けない光景を目にした。 ??「ざまぁみろ、悪党め!」 ナチスの兵舎の前で悪態を吐く少年、その手には火炎瓶が握られている。 しかし、それを咎めようとする者はいない。 何故なら、小銃を手にした門衛は人形のように制止しているからだ。 ??「ねえちゃん達の敵討ちだ……や、やってやる!」 少年は震える手で火炎瓶を握り締める。 ??「う、うわっ!?」 少年はキミの声に驚いて、火炎瓶を取り落とす。 ??「あああんた、何で動けるんだよ!?」 どうやら《ワーディング》を発生させていたのはこの少年のようだ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○問い詰めようとすると キミは兵舎の方から複数の足音が聞こえることが気付く。 少なく見積もっても十人以上。 しかも、《ワーディング》の中でも動ける部類のようだ。 ??「おい!ちょっと、聞けよ!俺の話を!」 少年はキミを目の前にしたことで、パニクっているようだ。 さらに四方からの足音も増える。 フランス国境に隣接している地方都市とはいえ、この兵数は明らかに過剰だ。 ??「えっ……これで時間が止まるんじゃなかったのかよ!?先生の嘘吐き!」 少年は首からぶら下げた黒い宝石を握りながら叫ぶ。 戦い慣れているキミには分かる。 既に敵はこちらに対する包囲網を張り終わっており、後はそれを狭めていくのだろうと。 ??「ああもう!」 少年はようやく危機的状況を理解して、キミに向き直る。 ??「……あんた、ナチスじゃないんだな?」 ??「なら、一緒に逃げんぞ!」 少年は両掌を打ち合わせてから地面に押し当てる。 そして、キミは落下した。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― では、シーンを切り替えます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼オープニング5『絶望と希望』  シーンプレイヤー:瑞葉 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ライン川の近くにある町アッシェン。 辺鄙な土地ながらも上質なドイツワインの産地だ。 キミはここの宿で数日振りの湯浴みを堪能するつもりだった。 だが……今、キミを濡らしているのは冷たい雨だ。 目の前には死の荒野が広がっている。 煤けた煙をあげて散らばる建築物の破片。 もう動かない、人であったもの達の残骸。 男も女も子供も老人も、生きていたものは等しく殺された。 それは生存者を探そうとする意志さえも打ち砕かれそうになるような光景だった。 ※登場は瑞葉、侵蝕率上昇でロールプレイ開始です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場すると 不意に何かが砕ける音が聞こえる。 駆け付けた場所に一組の男女が倒れており、その周囲には氷の破片が転がっていた。 壮年の男性は巨大な“何か”に四肢を喰い千切られて絶命している。 少女の方は呼吸をしているようだが、その身体は異常に冷たい。 よく見れば、病人用の手術衣のようなものを身に纏っているだけだ。 ??「……やめ……て……は……やく……に……げ……て……」 少女は何度も何度も譫言を繰り返す。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○保護しようとすると キミが触れると少女は薄らと目を開ける。 ??「……かえ……ら……ない……と……」 ??「……み……すと……」 ??「……みん……な……の……とこ……ろ……」 それだけ呟くと少女はまた意識を失う。 各地を旅しているキミには“みすと”という場所に心当たりがある。 ここから南の森を抜けて二日ほど行った辺りに、そんな名前の村があったはずだ。 何時の間にか、雨は上がっていた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― では、シーンを切り替えます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼ミドル1『怪盗から魔女に』  シーンプレイヤー:リリシア ▼ミドル2『怪盗から戦士に』  シーンプレイヤー:オスヴァルト ▼ミドル3『過去との遭遇』  シーンプレイヤー:ロベリア ▼ミドル4『過去との邂逅』  シーンプレイヤー:瑞葉 ▼ミドル5『イッヒ・ビーン・ハンス』  シーンプレイヤー:瑞葉 ▼ミドル6『静寂に包まれて』  シーンプレイヤー:オスヴァルト ▼ミドル7『真実の価値』  シーンプレイヤー:ロベリア ▼ミドル8『毒吐く竜を殺す槍』  シーンプレイヤー:リリシア ▼ミドル9『繰り返される暴虐』  シーンプレイヤー:瑞葉 ▼ミドル10『還るために』  マスターシーン ▼ミドル11『予期せぬ痛手』  マスターシーン ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼ミドル1『怪盗から魔女に』  シーンプレイヤー:リリシア ―――――――――――――――――――――――――――――――― ヨーロッパ大陸横断急行列車――オリエント急行。 キミはその前方車両の高級個室にいる。 そう、“盗られたら盗り返せ”という言葉に従って、あの怪盗を追っているのだ。 目撃情報によれば、ルパンはドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州に入ったらしい。 全てはキミの努力の賜物だ。 ……というか、明らかに手加減されているような気もしなくないが、それはそれ。 今は些末な自尊心よりも“竜殺しの槍”の方が大事だ。 だって、まだ頬擦りしていないのだから。 ※登場はリリシア、侵蝕率上昇でロールプレイ開始です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場すると 不意に扉がノックされる。 ??「失礼するよ、マドモワゼル」 聞き覚えのある単語と共に姿を見せたのは眼鏡をかけた長身痩躯の男性。 怪盗紳士ギョーム・ド・ノートルダム、キミの友人の一人だ。 ギョーム「偶々、近くを通り掛ったものでね」 古めかしいフォーマルスーツと黒いマントが、わりとデジャヴュだったりする。 ギョーム「聞いたよ、トルコで“彼”と一戦交えたそうじゃないか」 まだ誰にも話していないのにバレている。 ギョーム「無論、本人からだ」 ギョーム「“彼”の性格的に、あの槍を悪の手に渡すようなことは無いと思うのだが……それでも盗り返すつもりなのかね?」 ギョーム「なるほど、予想通りの回答だな」 ギョームは何やら感心したように頷く。 ギョーム「では、“彼”からの伝言だ」 ギョーム「“どれほど上質なドイツワインでも独りでは味気ないものだと思わないか?この霧が晴れる前に君の笑顔が見れることを願っているよ”とのことだ」 ギョーム「……随分と気に入られたものだな」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ※調査と調達を行えます。 ●情報:ルパンの動向  技能:〈情報:噂話/裏社会/社交界〉  難易度:5 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ※情報を貼ります。 ●情報:ルパンの動向  技能:〈情報:噂話/裏社会/社交界〉  難易度:5 ・伝言と地理を照らし合わせると、ルパンがアッシェン経由でミストを目指していることが分かる。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○判定を終えると ギョーム「さて……それでは私は失礼するとしよう」 ギョーム「これからユカタン半島に向かわねばならないのでね」 ギョーム「では、また会おう、マドモワゼル」 ギョーム「予言書にも“マドワゼルで紳士っぽさを演出するべし”と書いてあるのだよ」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― では、シーンを切り替えます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼ミドル2『怪盗から戦士に』  シーンプレイヤー:オスヴァルト ―――――――――――――――――――――――――――――――― 慣れ始めてしまったことを喜ぶべきか、哀しむべきか。 シュヴァルツヴァルトの研究所を襲撃した“何か”を追うのは簡単だった。 少し歩けば、新たな死体が転がっているのだから。 それが人間のものであれ、動物のものであれ、その数は既に二桁に上るだろう。 だが、それでも今までは散発的で偶発的なものだった。 ライン川の近くに存在していたはずの町アッシェン。 ここにはあの研究所を遥かに上回る地獄が広がっていた。 ※登場はオスヴァルト、侵蝕率上昇でロールプレイ開始です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場すると ??「“あらゆる生が目指すところは死である”……だが、これは些か理不尽過ぎるとは思わないか?」 それはフロイトの言葉だったろうか。 気付けば、キミの背後に片眼鏡をかけた紳士が立っている。 彼の名はアルセーヌ・ルパン。 キミの生き方を変えた恩人とも言うべき存在だ。 ルパン「……ここは上質なドイツワインを味わせてくれる良い町だったのだがな」 ルパンは沈痛な面持ちで呟く。 ルパン「この様子では生存者も……むっ……これは……」 ルパンは何かに気付いたように、崩れ落ちた建物へと近付いて行く。 そこにあったのは瓦礫で埋まりかけている地下への階段。 階段を降りた先はワインセラーになっていた。 キミはそこで氷塊の中に閉じ込められた子供達を発見する。 ルパン「これは……何らかの魔術によるものなのか?」 ルパン「葬られた、という訳でも無さそうだが……」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○魔術師の知人について ルパン「ほう、君はあの“雪闇の魔女”殿と知り合いだったのか」 ルパン「……ならば、後事は君に託してみるか」 ルパンがくるりと手を回すと全長1mほどの布包みが現れる。 ルパン「途中で依頼を投げ出すのは主義に反するが……それ以上に大事なものもある」 ルパン「ここから南の森を抜けて二日ほど行った辺りに、ミストという村がある」 ルパン「この槍をそこまで届けて貰えないだろうか?」 ルパン「そうすれば、私はこの子達の保護に専念することができる」 ルパンは氷塊の子供達を自分の隠れ家に避難させるつもりらしい。 ルパン「……それに上手くいけば、槍を追って彼女も現れるだろう」 ルパン「ああ、“雪闇の魔女”殿のことだよ」 ルパン「魔術に長けた彼女ならば、この氷塊について何か知っているかもしれない」 ルパン「では、そういうことで宜しく頼む」 ルパン「それにしても……少年」 その場を立ち去ろうとしたルパンはキミへと振り返る。 ルパン「私は、君を盗めたことを誇りに思うよ」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― では、シーンを切り替えます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼ミドル3『過去との遭遇』  シーンプレイヤー:ロベリア ―――――――――――――――――――――――――――――――― そして、キミは着地した。 足下には柔らかな土の感触。 鼻先に香るのは鈴蘭の香り。 清浄な空気はカールスルーエとは比べ物にならないほどだ。 今、キミは闇夜に閉ざされた森の中にいる。 ※登場はロベリア、侵蝕率上昇でロールプレイ開始です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場すると ??「ふぅー……はぁー……とりあえず、これだけ離れれば平気だろ」 少年が大きく深呼吸する。 ??「ああ、ここはミストとアッシェンの中間だよ」 ??「……って言っても分かんねえよな、どっちも田舎だろうし」 ??「あー、安心したらどっと疲れが……何がどうしてああなってこうなった」 少年は地面にへたり込み、orzとなる。 ??「……大体、あんたは何なんだよ……本当にもぅ」 少年は胡乱げな半眼でキミを見上げる。 ??「俺はベンジャミン。まぁ、ベンとかでもいいけど」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○先ほどの行動について ベン「……ねえちゃん達の敵討ちをするつもりだったんだ」 ベンジャミンは悔しそうに呟く。 ベン「先生から教わった《ワーディング》で時間を止めて、連中の住む所を燃やしてやろうって」 ベン「動物や町の人達で練習した時は上手く行ったのに……ちきしょう」 失敗したことがよっぽど悔しかったのか、ベンジャミンは涙目になっている。 ベン「あいつら、ねえちゃんやアロン、みんな……俺から奪っ……」 それ以上は言葉にならず、ベンジャミンは何度も何度も拳を地面に叩き付ける。 しばらくすると服の袖で顔を拭いながら、ベンジャミンが呟く。 ベン「……泣いてねえぞ。俺、泣いたりしてねえかんな!」 直後、森に銃声が響く。 そして、何処かで誰かが《ワーディング》を使用した。 ベン「なんだよ、今の!?」 ベン「っ、今から先生を呼びに……いや、でも……また誰かがねえちゃんみたいに……」 怯え、後悔、怒りと、ベンジャミンの表情が目まぐるしく変わります。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― では、シーンを切り替えます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼ミドル4『過去との邂逅』  シーンプレイヤー:瑞葉 ―――――――――――――――――――――――――――――――― キミは意識の無い少女を背負いながら、暗い森の中を進む。 人が通った形跡が殆どないため、草木は生い茂り、非常に歩き難い。 気を抜けば転んでしまいそうだ。 ……と思った瞬間、転んだ。 先日の雨で出来たぬかるみに足を取られて。 そして、少女の後頭部が地面に激突する。 ※登場は瑞葉、侵蝕率上昇でロールプレイ開始です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場すると ??「…………あ、レ……わたし、どウして」 大自然的なショック療法が功を奏したのか、少女が意識を取り戻す。 ??「……アの」 少女は怖ず怖ずとキミに視線を向ける。 ??「……こコは何処でショうか?ソれに……わたし、ハ?」 少女は本気で言ってるようだ。 ??「……名前……わたし、ノ……あ」 少女は何かを思い出したようだ。 ??「……あルマ……そう、アルマ」 少女は確かめるように繰り返す。 アルマ「わたし、は、アルマ・フランクです」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○自己紹介を終えると アルマ「少しずつ、ぼんやりとですが……思い出してきました」 アルマ「……弟がいるんです」 アルマは懐かしそうに微笑む。 アルマ「泣き虫なのに強がってばかりで……嘘吐きなのに優しくて」 アルマ「……何時も二人で、わたし、を笑わせて……二人?」 アルマの様子がおかしいです。 アルマ「……誰?……隣に、いたのは……弟?……守ろう、と……約束……」 アルマ「……忘れて、る?……大切な……好きだ、って……」 アルマは爪が食い込むほどに強く頭を押さえながら、ぶつぶつと呟き続けます。 その言葉を聞いて、アルマが動きが止まります。 アルマ「……そうだ、帰らないと……わたし、はそのために……」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ●判定  技能:〈回避〉  難易度:8 ・キミの後方の茂みで拳銃の撃鉄を起こすような音が聞こえる。 ・何者かが《ワーディング》を使用しながら、キミを銃撃する。 ・背中に灼けつくような痛みが走る。1d10のHPダメージに加え、硬直と重圧を受ける。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○判定が終わると ??「劣等民族の分際で、随分と手こずらせてくれたわね」 茂みの向こうから現れたのは場違いな白衣を着た青年。 金髪碧眼の端正な顔には嗜虐的な笑みが浮かんでいる。 ??「全く、こんな所に逃げ込んでるとは……ケダモノらしい帰巣本能ね」 青年は唾棄するように呟き、茫然自失のアルマへと銃口を向ける。 ??「あら、アレを喰らってまだ喋れるなんて……貴方、何者?」 青年は驚いたようにキミの方へと向き直る。 ??「劣等民族の分際で、生意気ね……まぁ良いわ、教えてあげる」 ??「私こそアーネンエルベの至宝……“完璧なる(イッヒ・ビン・パーフェクト)”ハンス・ベックマン」 ハンス「ふんっ、私の名前を呼ぶ時は“様”を付けなさい」 ハンスは不愉快そうに鼻を鳴らすと夜空に向けて照明弾を撃ち上げる。 静寂を打ち破り、ナチスの改造兵士達が姿を現す。 その規模はおよそ一個小隊、少なく見積もって50人近く。 ハンス「さぁ、そのケダモノを確保しなさい」 具現化した悪意の如く、敵が押し寄せて来る。 ――――――――――――――――――――――――――――――― では、シーンを切り替えます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼ミドル5『イッヒ・ビーン・ハンス』  シーンプレイヤー:瑞葉 ―――――――――――――――――――――――――――――――― キミ達は走っていた。 突如、鳴り響いた銃声。 何者かによる《ワーディング》。 夜空に打ち上げられた照明弾。 ざわめきだす森の空気。 その全てが揃った今……点と点が繋がることになるのは必然だった。 ※このシーンでは登場時や戦闘の演出は自由に行って構いません。 ※但し、ミドル戦闘のデータ内容が変更されることはありません。 ※登場は瑞葉(後から全員)、侵蝕率上昇でロールプレイ開始です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場すると 四方から敵が迫る。 自分だけならば、この窮地を脱することも可能かもしれない。 しかし、キミの背後には茫然自失のアルマがいる。 アルマ「……いや……血が……あの子が……撃たれ……アぁ……」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場する前に ベン「っ……嘘、だろ……ねえちゃん!?ねえちゃんだろ!!」 ベンジャミンは脇目も振らずにアルマへと駆け寄る。 ※登場はロベリア、侵蝕率上昇でロールプレイ開始です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場する前に ハンス「何なの!?次から次へと、劣等民族の分際で」 ヒステリックに喚き散らしている白衣の青年を見て、オスヴァルドは思い出す。 “完璧なる(イッヒ・ビン・パーフェクト)”ハンス・ベックマン。 あの施設で、非道な実験を行っていた研究者の一人だ。 ※登場はオスヴァルト、侵蝕率上昇でロールプレイ開始です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場する前に リリシアは混沌した戦場を冷静に観察していた。 だが、白い軍服の少年が参戦した瞬間、状況が一変する。 少年が背負っている細長い布包み。 あれこそ……。 ※登場はリリシア、侵蝕率上昇でロールプレイ開始です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ■ミドル戦闘開始 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼位置関係 ・「ハンス(10)/兵士ABC(8)」10m「PT/アルマB(10)」 ・「ハンス(10)/兵士A(8)」10m「PT/アルマB(10)/兵士BC(8)」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼特殊ルール ・アルマ&ベンは攻撃が命中すると戦闘不能になります。 ・その結果、アルマが拉致され、ゲームオーバーになる可能性もあります。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▽セットアップ ▽イニシアティブ オスヴァルト(12) ハンス(10) アルマ(10) リリシア(8) 兵士ABC(8) ロベリア(7) 瑞葉(5) ▽クリンナップ ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○戦闘が終了すると ハンス「……ハ?……ヘ?……ヒッ!?」 改造兵士の一個小隊を僅か数分で殲滅され、ハンスは銃を取り落とす。 ハンス「なんなの、貴方達……くっ、こんな連中がいると分かってさえいれば……」 ハンス「み、見てるんでしょ!?“巨刃(ナーゲルリング)”!助けなさい!!」 ハンスの声に応えるように風が巻き起こる。 カール「……十分ほど前に“出しゃばるな”との命令を受けたような気がするのですが、ベックマン殿」 キミ達の頭上から声がする。 何時の間にか、その木の枝に軍服を着込んだ男性が腰掛けている。 ハンス「そんなの、何かの間違いよ!」 ハンス「“巨刃”!私達が撤退するまでの時間を稼ぎなさい!いいわね!」 ハンスは言い終わるよりも早く、動ける部下と共に戦線を離脱していく。 カール「……」 カールは何をするでもなく、キミ達を眺めている。 カール「さてと……どうする?」 カール「俺の目的は“そこのお嬢ちゃんを連れ戻すこと”であって……お前さん達とやり合うつもりは無いんだが」 ベンジャミンは怯えるアルマを落ち付かせながら、キミ達のやり取りを見守っている。 カール「……ま、お前さん達にとっては人助けのつもりなんだろうけどな」 カール「もしも、本気で彼女のためを思うならば……今、ここで俺に引き渡してくれないか?」 カール「確かにアーネンエルベの研究所に連れ戻されたら、彼女は実験動物として扱われるだろう」 カール「けどな……全ての物事には“最低”を下回る“最悪”が存在する」 カール「お前さん達の行く先にあるのがそれだ」 カール「交渉は決裂だな」 カールは嘆息しながら、キミ達へと向き直ります。 カール「魔術師二人にマフィアと超人兵士か」 カール「……お前さん達だけなら何とかなりそうなんだが、それ以上となると絶望的だな」 カール「仕方無い、出直すか」 カールは枝から飛び下りると同時に姿を消す。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― では、シーンを切り替えます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼ミドル6『静寂に包まれて』  シーンプレイヤー:オスヴァルト ―――――――――――――――――――――――――――――――― 激動の夜が明け、朝日が昇る。 キミ達は協力してナチスの襲撃を退けた。 しかし、仲間と呼び合えるほどにお互いの事を理解した訳ではない。 各々の状況を整理して、不測の事態に備える必要がある。 ベン「とりあえず、場所を移そうぜ……ねえちゃんも疲れるみたいだし」 急転する状況や心労が重なったせいか、アルマは寝息を立てている。 ※ここからはPC同士での状況説明と情報共有のシーンです。 ※ここからはPC同士での状況説明と情報共有のシーンです。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場すると ベン「ここから村まで、歩くと一日以上かかるぞ?」 ベン「まぁ見てろって……これ、先生から教わった術なんだぜ」 ベンジャミンは両掌を打ち合わせてから地面に押し当てる。 そして、キミ達は落下して、着地した。 ベン「ここがねえちゃんの家だよ」 目の前には質素な小屋が建っており、少し離れた場所に村へと続く登り坂が見える。 ベン「そこの白いあんちゃん。ねえちゃんを寝室に運ぶの手伝ってよ」 ベンジャミンがオスヴァルドを呼ぶ。 ベン「……あれ、どの部屋だっけ」 ふとテーブルの上に書き置きがあることに気付く。 “ちょっとベルリンまで行ってきます。夕方までには戻ります。by ShowK”とのこと。 ベン「ああ、俺の先生だよ。なんか色んな場所に出向くのが仕事なんだってさ」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○氷塊の子供達について 合流後、リリシアが登場しているシーンで話題に出せば真相が明らかになる。 ・子供達は《冷凍保存》で仮死状態にされており、リリシアならそれを解除できる。 ・アッシェンを襲撃した“何か”に見つからないようにしたのだろう、と。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ※調査と調達を行えます。 ●情報:アルマ・フランク  技能:〈交渉〉  難易度:3 ●情報:カール・シュヴァイツァー  技能:〈情報:裏社会/軍事〉  難易度:7 ●情報:ハンス・ベックマン  技能:〈情報:裏社会/軍事〉  難易度:5 ●情報:“ジェヴォーダンの獣”の概要  技能:〈情報:学問/神秘〉  難易度:5 ●情報:“竜殺しの槍”  技能:〈知識:神秘〉  難易度:7 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ※情報を貼ります。 ●情報:アルマ・フランク  技能:〈交渉〉  難易度:3 “ミストの聖女”アルマ・フランク  ソラリス/女/17歳/ウィッチドクター ・ミストの村で暮らしていたユダヤ系の少女。 ・早くに両親を亡くし、弟と二人で暮らしていた。 ・心優しい性格で、村人からは“ミストの聖女”とも呼ばれていた。 ・病気や怪我を瞬時に治す不思議な力を持っている。 ・半年前に改造兵士を引き連れたハンスによって拉致され、消息不明となる。 ・何らかの実験の後遺症か、記憶に不明瞭な点が多い。 ※これらはベンジャミンから引き出した情報です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ※情報を貼ります。 ●情報:カール・シュヴァイツァー  技能:〈情報:裏社会/軍事〉  難易度:7 “巨刃(ナーゲルリング)”カール・シュヴァイツァー  ハヌマーン×キュマイラ/男/34歳/超人兵士 ・オスヴァルトの訓練教官を務めていた超人兵士。 ・自堕落な雰囲気と無精ヒゲが特徴的。 ・シュヴァルツヴァルトの出身で、父親は猟師。 ・風を纏わせた手刀は遠く離れた敵をも斬り裂く。 ・目的はアルマを連れ戻すことらしいが、詳細は不明。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ※情報を貼ります。 ●情報:ハンス・ベックマン  技能:〈情報:裏社会/軍事〉  難易度:5 “完璧なる(イッヒ・ビン・パーフェクト)”ハンス・ベックマン  ノイマン×オルクス/男/24歳/研究者 ・祖国遺産協会アーネンエルベに所属する研究者。 ・金髪碧眼の美青年だが、オカマのような喋り方をする。 ・非アーリア人種を劣等民族として唾棄している。 ・実験のためならば手段を選ばない外道。 ・シュヴァルツヴァルトにあった研究所の所長でもある。 ・アルマを拉致した張本人だが、その理由は不明。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ※情報を貼ります。 ●情報:“ジェヴォーダンの獣”の概要  技能:〈情報:学問/神秘〉  難易度:5 ・18世紀のフランス、ジェヴォーダン地方に出現した狼に似た生物。 ・殺害の仕方は捕食動物としては異常で、脚や喉を全く無視し、頭部を喰いちぎる。 ・一説によれば、その襲撃は306回、死者は123人、負傷者は51人。 ・1767年6月19日に、地元の猟師に射殺されたと伝えられている。 ※“ジェヴォーダンの獣(ラ・ベート)”については別項目となります。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ※情報を貼ります。 ●情報:“竜殺しの槍”  技能:〈知識:神秘〉  難易度:7 ・聖人ゲオルギウスが竜退治に使ったとされる槍。 ・全長1mほどの鉄製の槍で、刺し貫くことで相手の力を封じることができる。 ・何者かの依頼を受けたルパンによって盗み出される。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○調査が終わると アルマ「……あれ、私、どうして……」 目が覚めたアルマが頼りない足取りで起き上がってくる。 ベン「ねえちゃん、まだ寝てろって!」 ベンジャミンが慌てて駆け寄る。 アルマ「だいじょうぶ、今は何だか楽なの……きっと帰って来れたからだと思う」 アルマは嬉しそうに微笑む。 アルマ「そうだ、皆さんに飲み物とか食べ物をお出ししなきゃ」 ベン「いや、俺がやるから!いいから!ってか、寝てろ!」 ベンは台所にあった水汲み用の桶を持つと玄関に向かいます。 ベン「水とか食料も俺が調達してくるから、ねえちゃんは家にいろよ」 ベン「ってか、あんたらもだぞ!ただでさえ、不審人物っぽいんだから……」 ベン「村の連中とかに見つかったら大騒ぎになっちゃうだろ」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ●判定  技能:〈知覚〉  難易度:3/5 (ロベリアは+2のボーナス) ・冗談っぽく言って誤魔化そうとしているが、ベンジャミンの態度は必死だ。 ・そして、ズボンの腰の辺りが妙に盛り上がっていることに気付く。 ・ロベリアにとっては使い過ぎて見慣れた形状だ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○判定が終わると ベン「子供じゃないんだから、大人しく待ってろよ!」 ※ベンジャミンを追いかける場合は次のシーンに登場して下さい。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― では、シーンを切り替えます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼ミドル7『真実の価値』  シーンプレイヤー:ロベリア ―――――――――――――――――――――――――――――――― 軽口を叩いて玄関を出る。 扉を閉めてから家の中の様子を伺う。 ベン「大丈夫、大丈夫だ」 呪文のように繰り返す。 ベン「ねえちゃんは俺の嘘は見破ったことないんだから」 優し過ぎるから。 だからこそ、自分が守るんだ。 ベン「……思ってたよりも重いんだな」 それは白衣の男が落としていった人を殺すための武器。 ※このシーンに登場すると、次のシーンでは少し遅れて登場することになります。 ※登場はロベリア、侵蝕率上昇でロールプレイ開始です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場すると ベン「う、うわっ!?」 ベンジャミンはキミの声に驚いて、拳銃を取り落とす。 ベン「あああんた、何で出てきてんだよ!?って……あっ」 ベンジャミンは眼前のキミと地面の拳銃を交互に見る。 ベン「……いや、ほら、その、落とし物だし、警察もないし」 ベン「あんな化け物みたいな連中に勝てると思い込むほど、頭悪くねえよ!」 ベン「ってか、もしかして、盗み聞きしてたのかよ!?」 ベン「ああもう……」 ベンジャミンは恥ずかしさから髪の毛をぐしゃぐしゃにする。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○ベンジャミンの胸中 ・絶対に悲しむことが分かってるなら、本当のことなんて知らない方がいい。 ・奪われたはずのものが戻ってきたなら、どんなことをしたって守り通すべきだ。 ・例え、その結果、大切な人を閉じ込めることになったとしても。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○会話が終わると ベン「やべ、早く水を汲んでこないと……って、食い物もか」 ベン「あ、勘違いすんなよ!水を汲みに行こうとしたのは本当だからな!」 ベン「それに、あんた達に出歩くなって言ったのもだ」 ベン「……そっちの理由はまだ言えないけど」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― では、シーンを切り替えます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼ミドル8『毒吐く竜を殺す槍』  シーンプレイヤー:リリシア ―――――――――――――――――――――――――――――――― ロベリアがベンジャミンを追い掛けて行ったのと同時刻。 アルマ「わたし、大事なことを思い出しました」 申し訳なさそうに縮こまっていたアルマが急に立ち上がる。 アルマ「その、両親に“ただいま”って言わないと……」 ※登場はリリシア(他は任意)、侵蝕率上昇でロールプレイ開始です。 ※必ず、“竜殺しの槍”の所在を確認すること。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場すると アルマ「わたし、早くに両親を亡くしたから、話をした記憶が殆どなくて……」 アルマ「だから、裏庭に花壇を作って二人の好きだった花を植えたんです」 アルマ「弟と一緒にそれを育てながら、その日の出来事を話しかけたりして」 アルマ「あの、その……少しだけ会ってきてもいいですか?」 アルマ「ありがとうございます」 アルマは嬉しそうに微笑む。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○裏庭に向かうと キミ達はアルマに案内されて裏庭へとやって来た。 三列に並べられた花壇の中には色とりどりの花が咲いている。 アルマ「こっちが父の花壇で、そちらが母の花壇なんです」 二つの花壇の柵にはサムエル・フランクとデボラ・フランクと彫り込まれている。 ふとアルマは不思議そうに足を止める。 アルマ「……あれ?」 視線の先にあるのは三つ目の花壇。 それは他の二つに比べて拙く、真新しい。 木製の柵に彫り込まれているのはアロン・フランクという名前。 アルマ「……なに、こレ」 アルマ「……アりエなイ、そンナの」 アルマ「……だッテ、ソれハ……ワタし、ノ……オとウト……ァ……ぁァ」 ※この瞬間、アルマの取得していたロイス《弟》がタイタス化します。 はらりはらりと花びらが舞い落ちる。 まるで命そのものを奪われていくように。 アルマ「ぁぁァア……コろシ、テ……こロしたクな、イ……ころセ……コロせ」 ※シーンに登場している全員に、1D10÷2(端数切り捨て)点のHPダメージを与える。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○アルマが暴走しそうになると ??「今直ぐ、その“竜殺しの槍”で彼女の肉体を傷付けなさい」 不意に声を掛けられる。 ??「それで鎮められるはずです……緊急措置にしかなりませんが」 ○○の振るった槍の切っ先がアルマの肌を切り裂く。 そこから噴き出したのは見えない“何か”。 そして、アルマは意識を失って崩れ落ちた。 ??「……どうやら早めに戻って来て正解だったようですね」 キミ達が視線を向けた先には美しい女性の姿があった。 中国の伝説に謳われる“崑崙八仙”の一人を名乗る女怪、何仙姑。 瑞葉にとっては師匠に当たる人物だ。 何仙姑「まずはあなた方には色々と説明する必要がありそうですね」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ※調査と調達を行えます。 ●情報:ベンジャミン  技能:〈交渉〉  難易度:3 ●情報:アルマ・フランク  技能:〈情報:軍事/神秘〉  難易度:7 ●情報:“ジェヴォーダンの獣”  技能:〈情報:軍事/神秘〉  難易度:7 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ※情報を貼ります。 ●情報:ベンジャミン  技能:〈交渉〉  難易度:3 ベンジャミン・アレン  バロール×オルクス/男/14歳/孤児 ・ミストの村で育てられたユダヤ系の少年。 ・フランス国境へと向かう途中、狼の群れに襲われて母親を失う。 ・アルマやアロンとは実の姉弟のように仲が良い。 ・アルマを守ろうとハンスに抵抗し、アロンと一緒に撃ち殺される。 ・死を“超越”したことで異能の力を宿し、何仙姑と知り合う。 ※これらは何仙姑から引き出した情報です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ※情報を貼ります。 ●情報:アルマ・フランク  技能:〈情報:軍事/神秘〉  難易度:7 “ジェヴォーダンの獣(ラ・ベート)”アルマ・フランク  ソラリス×ウロボロス/女/17歳/実験体 ・“ジェヴォーダンの獣”の実験体に選ばれた少女。 ・本来の能力は相手の自然治癒力を高めるというもの。 ・“獣”の残骸を埋め込まれたことで、不安定な状態に陥っている。 ・現在は相手の生命力を奪い取ることも可能だと推測される。 ・両親の名前はサムエルとデボラ、アロンという弟がいる。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ※情報を貼ります。 ●情報:“ジェヴォーダンの獣”  技能:〈情報:軍事/神秘〉  難易度:7 ・民族浄化という妄執に囚われたハンスが独断で行っていた研究。 ・アーネンエルベが発見した“獣”の残骸を埋め込まれた実験体のコードネームでもある。 ・能力を暴走させ、シュヴァルツヴァルトの研究所を壊滅させる。 ・逃亡中に立ち寄ったアッシエンでも暴走し、住民を虐殺する。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○判定が終わると 何仙姑「もう一つ、とても大事なことをお知らせしなければなりません」 何仙姑「彼女、アルマ・フランクは既に人ではありません」 何仙姑「……どのように説明するべきでしょうかね」 何仙姑は珍しく自らの考えをまとめようとする。 何仙姑「これは想像や推測なども交えて、私が出した結論です」 何仙姑「本来、“ジェヴォーダンの獣”という呼称は特定の個体を指す言葉ではありません」 何仙姑「“アレ”は他者の精神に寄生して、その肉体を支配します」 何仙姑「つまり、“アレ”に取り憑かれたものが“獣”になるのです」 何仙姑「そういう意味では皮肉かもしれませんね……“アレ”も“魂(alma)”と呼ばれる存在なのですから」 刹那、外で爆音が響く。 何仙姑「……彼女は私が見ておきましょう」 何仙姑は意識を失っているアルマを見る。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― では、シーンを切り替えます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼ミドル9『繰り返される暴虐』  シーンプレイヤー:瑞葉 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 小屋を飛び出すと、坂道の方から立ち上る黒煙が見える。 ハンス「劣等民族の分際で、よくも私に傷をッ!」 大分、離れているのにも関わらず、ヒステリックな声が聞こえてくる。 ※登場は全員、侵蝕率上昇でロールプレイ開始です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○シーンに登場すると 坂道を上り終えた先に広がっていたのは予想だにしなかった光景。 黒く焼け焦げた屋根、銃痕が刻まれた扉、赤い染みが残された壁。 その村は廃墟と化していた。 但し、それは昨日今日の事ではなく、少なくとも数ヵ月以上も前に。 ハンス「このッ!このッ!このッ」 ハンスは地面に脱ぎ捨てた白衣を何度も何度も踏み躙っている。 まだらに染まった“それ”は妙に丸まっていた。 ハンス「ッ!?」 ハンスの傍らに控えていた兵士達が炎弾で迎撃する。 爆風の余波で白衣が吹き飛ぶ。 そこにはズタ袋のように転がるベンジャミンの姿があった。 ハンス「な、なにするのよ!?劣等民族の分際で」 ハンスはキミ達に気付いて後ずさる。 ハンス「不意打ちしようとするなんて卑怯じゃない!」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ○会話を済ませると ハンス「まぁいいわ……どうせ貴方達はここでに死ぬのだから」 ハンス「今回の部下はこの前みたいな役立たずとは違うのよ」 ハンス「なんせ、SS特務部隊から借り受けた魔術士官なんだから」 ハンス「……さぁ、“燔祭(ホロコースト)”を始めるわよ!」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― では、シーンを切り替えます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼ミドル10『還るために』  マスターシーン ―――――――――――――――――――――――――――――――― 最初から分かっていた。  手と手を取り合ったまま血を流す親子が見える。 もう戻れないんだって。  美しい顔を恐怖に歪めて転がる女の首が見える。 それでも、帰りたかった。  逃げれないようにねじ切られた男の足が見える。 もう一度、会いたかった。  赤黒く染まった瓦礫の隙間に小さな手が見える。 だから……。  ――もっと殺さないと。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ▼ミドル11『予期せぬ痛手』  マスターシーン ―――――――――――――――――――――――――――――――― 「……なるほど」 彼女は左腕を喰いちぎられながらも観察する。 「欲したのは還るべき場所だったのですね」 彼女は左腕を喰らいつきながら変わっていく。 「そのために壊し、殺し、喰い、取り込む」 顔を覆うのは血の隈取りが施された白い仮面。 「つまり、それこそが……あなたの“根源(germ)”」 ――アルマの“獣”が咆哮する。 ――――――――――――――――――――――――